日本企業のM&A戦略

安倍政権誕生以来急激に円安が進行しましたが、昨年までは欧州債務不安などを背景に対ドル・対ユーロで円高が進行しました。
輸出企業にとって円高は収益を圧迫します。
一方円高は海外企業を買収するには絶好のチャンスです。
例えば1ドル80円の時と100円の時を比べると、単純計算では80円の時は100円の時の2割引きで買えることになります。
これはなんといっても大きなメリットでしょう。
また日本の大手優良企業のなかには、内部留保を多く持つ企業がたくさんあります。
これらを銀行に預けておくよりも、円高の時期に海外資産を買うのは有効な投資といえます。
昨年はこの絶好のチャンスであったわけです。
したがって大型の海外企業買収もたくさんありました。
ソフトバンクのアメリカ携帯電話会社買収はその典型です。
円高で日本経済が好調だった時に、日本企業は海外の会社や不動産を買いあさったことがあります。
1980年代後半から1990年くらいにかけての時期です。
三菱地所がニューヨークの中心にあるロックフェラーセンターを買い取ったのは有名です。
しかしその後日本のバブル景気は失速し、多くの企業は高値で買収した海外の会社や不動産の価格下落により大きな損失を抱えることになりました。
そのような痛い経験を持つ大手企業は、景気が回復して手元に資金がたまり始めても、海外の会社や不動産の買収には慎重な姿勢をくずしませんでした。
しかし昨年までの急激な円高によって、いよいよその再投資を始めたと考えられます。
今後、日本企業はどのようなスタンスでM&Aをおこなうのが望ましいのでしょうか。
私はバブル期のアメリカ・ヨーロッパという選択ではなくこれからは、アジアに目を向けるべきだと考えています。
これからアジア諸国とくにアセアン諸国はまだ伸びる余地がたくさんあります。
多くの人口を抱えたこれらの国々は、中国がたどったように、これから大きな発展の時期を迎えるわけです。
したがってこれらの国の会社や不動産に投資することは、将来おおきなリターンを得る可能性を秘めています。
もちろんこれらの国は政情が安定していない国もあり、不安定要因は抱えています。
しかしこれから製造業は人口増の望めない日本ではなく、アジア諸国に販路を求めていくことが必要不可欠になります。
日本のレベルの高い商品は高額でも売れるのです。
ユニチャームやアジノモトはすでにそのことを証明しています。
これからのM&Aはアジアが焦点になります。